クロス(壁紙)の役割とは
- 2022.09.30
- コラム
一般住宅の内装材として定着しているクロスは、壁や天井といった屋内の仕上げ材です。下地になるプラスターボードなどの石膏ボードの上に接着して室内をきれいに仕上げることができます。
クロスにはビニールクロスや和紙、布、珪藻土など様々な種類があります。それぞれに見た目も機能も価格も変わるため、住宅を建てる時にはもっともセレクトに悩むところかもしれません。もちろん、色調にも様々な種類が種類があります。
そんなクロスの役割について、解説していきます。
表面の保護
クロスはもともと壁や天井の下地を、汚れや傷、劣化などから保護する役割があります。汚れれば落としやすいようにクロスが貼ってあり、落とせない汚れや衝撃によって傷ついた場合には、貼りかえることができるようにしています。
多くのクロスは水拭き可能になっていますし、中性洗剤や消毒用アルコールで汚れを落とせる仕様もあります。収納の内部など、一部クロスを貼らないというケースもありますが、基本的には壁のすべてに貼ります。
クロスは車でいえば表面の塗装、人間でいえば服です。
調湿機能、防カビ
珪藻土系などの吸保湿機能を持つクロスは、室内が乾燥している時には空気中の水分を室内に排出し、逆に室内の湿度が高い時には空気中の水分を吸収することで、なるべく湿気の変動を抑え、快適な湿度を維持します。主に冬場に水分を排出して夏場は水分を吸収するため、カビを防止する効果もあります。リビングや来客対応の部屋には取り入れることが多いようです。
抗菌・消臭
クロスの表面に抗菌剤が使用されているものや消臭効果のあるものがあります。これらの効果はずっと続くわけではなく、5年から10年程度が目安ですが、トイレや水回りに取り入れてもいいのではないでしょうか。汚れやすい、傷みやすい場所なので居室よりは早く貼り替えの時期がきます。
イメージ面の役割
室内のイメージを決める
部屋の印象が決まる要素の中でも大きいのがクロスです。フローリングや建具と同等以上の面積を占めます。カラーやデザインによって部屋の印象が大きく変わります。部屋が広く感じたり、狭く感じたりするのもクロスでずいぶん変わります。
一般的に明るく広く見せたい場合には、クロスに白やアイボリーなどの薄めの色を使います。逆に締まりのあるイメージにしたい場合には、ツートン色や落ち着いたグレー色などを組み合わせます。
面でカラーを変えたりワンポイントを入れるなどで、個性的にもなります。
布や和紙を使った個性的なクロス
木綿や麻、シルクなどの自然素材を使ったクロスは格段に雰囲気が変わり、和風や高級感のあるトーンが演出できます。年月によって色合いが変化する味もあります。
また、和紙も自然素材で環境に優しいことから注目されています。和紙の場合は完全に和風のテイストですが、ビニール系クロスとミックスさせてオリエンタルなイメージも作れます。
どちらも費用は安くはありませんので一般住宅ではワンポイント的な使用になりそうですが、店舗などでは利用価値が高いといえます。
まとめ
クロスという壁紙ができる前、日本では壁の仕上げといえば漆喰仕上げか板張りでした。壁には漆喰が多く、天井は板張りです。漆喰は調湿機能を持ち、機能的には現在のクロスを上回るほどですが、仕上がりのイメージ面はカラーやデザインも少なく、費用が高くなります。
クロスの場合は壁や天井を1枚で貼ることはできないため、どうしても数か所はクロス同士のジョイント、目地ができます。木造住宅では木材の収縮もあり、目地が開いて視覚的に目立ってくることがよくあります。
これは住宅の施工などの問題ではなくむしろ木が生きて呼吸している証です。
ただカラーによっては補修に手間がかかります。漆喰や左官系の珪藻土などはある程度収縮できるためあまり目地が目立つことはありません。布系のクロスでも収縮できるものがあります。
使用する部屋によって適したクロスを選択しましょう。
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