キッチンや洗面所、トイレなど、いわゆる“水回り”は日々の生活の中で使用頻度が高く、湿気や汚れが特に気になる場所です。そんな空間で壁紙を選ぶとき、「水に強いものを使いたい」というニーズはとても自然なもの。せっかく貼った壁紙がすぐにカビたり、はがれてしまったりしては本末転倒です。
では、水回りに適した「水に強い壁紙」には、どんな種類があるのでしょうか?本コラムでは、機能性や素材の違い、施工のポイントまで含めて詳しくご紹介します。
なぜ水回りには水に強い壁紙が必要なのか?
まず前提として、一般的な壁紙(ビニールクロスなど)でも、ある程度の防水性は備えています。しかし、水回りではそれ以上の性能が求められます。具体的には以下のような理由です:
- 湿気がこもりやすい(浴室周辺や洗面所)
- 水滴や油はねが直接飛ぶ(キッチン・トイレ)
- カビや汚れがつきやすい(常に高湿度)
こうした環境では、通常の壁紙ではすぐに変色・カビ・剥がれなどの劣化が起きやすいため、専用の“機能性壁紙”を選ぶことが大切になります。
水に強い壁紙の主な種類と特徴
1. 防水・撥水ビニールクロス
もっとも一般的で手に入りやすいのが、防水性や撥水性を高めたビニールクロスです。表面に防汚加工や防カビ加工が施されており、さっと拭き取れば汚れや水滴を簡単に除去できます。種類も豊富で、デザイン性の高いものも多く、水回りでもインテリア性を損なわずに使用できるのが魅力です。
たとえば、洗面所やトイレなどの比較的湿度の高い場所には、こうしたビニールクロスが最も適しています。
【特徴】
- 表面がつるつるしていて水を弾く
- 防汚・抗菌・防カビ加工あり
- 費用も比較的リーズナブル
2. フリース(不織布)壁紙+防水コーティング
「フリース壁紙」とは、紙と繊維を混ぜた素材でつくられている不織布の壁紙です。ヨーロッパでは主流の素材で、近年日本でも注目されています。フリース自体は吸水性があるため、そのままでは水回りに向いていませんが、防水コーティング(ウレタンコートなど)を施すことで、水に強く仕上げることができます。
デザイン性に優れた輸入壁紙も多く、個性的な空間づくりをしたい方におすすめです。
【特徴】
- 通気性があり、湿気がこもりにくい
- 防水加工を施すことで耐久性アップ
- 個性的な柄やカラーが豊富
3. パネル系壁材(壁紙ではないが選択肢として有効)
水回りの湿気が極端に高い場所、たとえばキッチンのコンロ周りや、洗面所の水が跳ねやすい部分などには、「壁紙」ではなく耐水性のある**パネル材(キッチンパネル、アイカのセラールなど)**を使うのも賢い選択です。
壁紙と併用し、一部の面だけパネルでカバーすることで、見た目と機能性の両立が可能です。
【特徴】
- 完全防水で掃除がラク
- 汚れや油にも強い
- 高価だが長持ちする
4. タイル調壁紙(クッションシートタイプ)
最近では、DIYで貼れる「クッションタイプのタイル調壁紙」も人気です。防水性・耐久性に優れており、水拭きで簡単にお手入れができるため、賃貸物件やリフォーム時にも便利です。
本物のタイルのような質感を持ちながらも、軽量かつ柔らかい素材で扱いやすいのが特徴です。
【特徴】
- 防水・防汚加工あり
- クッション性があり手触りもよい
- 手軽に貼り替え可能(賃貸OK)
部位ごとのおすすめ壁紙
場所 | おすすめ壁紙の種類 | 備考 |
洗面所 | 撥水ビニールクロス、防カビタイプ | 湿気対策が重要 |
トイレ | 防臭・抗菌加工ビニールクロス | におい対策+水はね対策 |
キッチン | 防汚ビニールクロス+パネル併用 | コンロ・シンク周りはパネル素材を検討 |
脱衣所 | 通気性重視の壁紙+防水コーティング | 湿度が高くカビやすいため通気性も考慮 |
水に強い壁紙を長持ちさせるポイント
- こまめな換気
湿気をこもらせないことが最大のカビ対策です。換気扇や窓を活用し、湿度が高いときは除湿機を使うのも有効です。 - 掃除は水拭き+乾拭き
壁紙が水に強いとはいえ、水分が残ると劣化の原因になります。掃除は水拭きの後、乾いた布で水分を拭き取る習慣を。 - 施工はプロに任せるのが安心
特に防水コーティングを施す場合やパネルと併用する場合、下地処理や継ぎ目の施工が重要です。DIYが不安な場合はプロに依頼を。
水回りこそ、壁紙の工夫が光る場所
水回りは、家の中でも劣化しやすく、手入れが大変な場所です。そのぶん、機能性の高い壁紙を選ぶことで、掃除の手間が減り、清潔で快適な空間を維持しやすくなります。
最近では、水に強いだけでなく、デザインにも優れた壁紙が多数登場しています。シンプルで清潔感のあるホワイト系から、遊び心のある北欧柄、防臭・抗菌機能まで備えた高機能壁紙まで、選択肢は広がる一方です。
水回りを単なる“実用空間”ではなく、インテリアとして楽しめる場所に変えるために、ぜひ壁紙選びから見直してみてはいかがでしょうか。日々の暮らしが、少しだけ心地よく変わるかもしれません。
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